カメラが好きな人にとって、新しいモデルの登場はいつだってワクワクするもの。つい「今のカメラを手放して新しいのにしようかな」と考えることもありますよね。そんなときに気になるのが、今持っているカメラがどれくらいの値段で売れるのか、というところ。
中古カメラの世界では、同じように見えるカメラでも査定額にけっこう差が出ることがあるんです。じゃあ、一体どんなカメラが「高く売れるカメラ」なのか。長年カメラの査定に携わってきた立場から、いくつかのポイントをご紹介します。
まず大切なのは、「そのカメラに今も市場で価値があるかどうか」。これはブランドの人気も関係しますが、プロやハイアマチュアに支持されているか、流通量が少ないか、そして現役としてしっかり使える性能かどうか、という点がカギになります。たとえば、キヤノンのEOS R5やソニーのα7R IV、ニコンのZ9などは、少し時間が経っても安定した人気があり、高値で買い取られることが多いです。
逆に、初心者向けのエントリーモデルは市場にたくさん出回っていて、買い手のニーズも限られているので、状態がよほど良くないと高額での買取は難しいのが現実です。特に昔のコンパクトデジカメは、スマートフォンの進化もあって、今ではなかなか厳しい査定額になることも。
それでは、少しでも高く売るためにはどうしたらいいのでしょうか?
ポイントは「外観や動作のコンディション」。やっぱりキズや汚れが少なく、シャッター回数が少ないと評価は上がります。さらに、元箱や説明書、純正のバッテリーやストラップなど、付属品がしっかり揃っていると査定額にもプラスに。逆にレンズやファインダーにカビがあったり、曇っていたりすると、マイナス評価につながってしまいます。保管の仕方ひとつで大きく差が出るんですね。
意外と見落とされがちなのが「ファームウェアの更新」。これが最新になっているだけでも「ちゃんと大事にされてきたな」と思われて、査定する人の印象が良くなることがあります。日頃からちょっとしたメンテナンスをしておくと、いざというときに差が出るんです。
また、ライカやハッセルブラッドなどのクラシックカメラになると話は少し変わります。これらは性能よりも希少性や美しさが評価されるジャンル。古くても状態が良ければ、驚くほど高値がつくこともあります。下手に修理したり改造したりせず、丁寧に扱うことが大切です。
結局のところ、「高く売れるカメラ」は新しいからとか、有名ブランドだからというだけではなくて、人気と性能のバランス、普段の使い方や手入れの仕方、付属品の有無など、トータルで見られるんです。だからこそ、愛用している間も「次に大事にしてくれる人に渡す」くらいの気持ちで丁寧に扱ってあげると、きっといい形で手放せると思いますよ。